授業デザイン、授業リフレクションを知ろう

看護教育や初等・中等教育の世界で四半世紀以上も支持され続けている“本物”の「授業デザイン」、「授業リフレクション」に、ふれてみませんか?

●目次

 

(1)「授業づくり」や「教え方」で困っていませんか?

(2)  目黒悟先生、永井睦子先生による「授業デザイン」「授業リフレクション」

(3)「授業デザイン」とは

(4)「授業リフレクション」とは

(5)  10年ぶりの新刊その①

(6)  10年ぶりの新刊その② 

(7)「授業デザイン」「授業リフレクション」のことをもっと詳しく知りたい、学びたい方へ

 


(1)「授業づくり」や「考え方」で困っていませんか?

 看護教員や実習指導者として、日々、「教えること」や「育てること」に携わるなかで、「この授業で本当に学生は理解してくれたのかな?」「自分の教え方って、実は独りよがりになっていて空回りしちゃってるのかな?」など、自分の「授業づくり」や「教え方」について、不安に駆られてしまうことはありませんか?

 そんな迷いを解消するために、皆様は多忙な業務の合間を縫って様々な授業研究に取り組まれているのではないでしょうか。

(2)目黒悟先生、永井睦子先生による「授業デザイン」「授業リフレクション」

 「授業デザイン」「授業リフレクション」とは、初等・中等教育の世界で1990年代から現在に至るまで多くの教員に支持され続けている授業研究方法であり、故 藤岡完治先生(元京都大学高等教育研究開発推進センター教授)らが、開発、研究、推進し続けてきました。

 

 現在、手法や目的、対象が異なる非常に多くの「授業デザイン」や「授業リフレクション」が存在しています。どの「授業デザイン」や「授業リフレクション」も多くの人が携わり研究が重ねられたすばらしいものですが、そのなかでも目黒悟先生(元藤沢市教育文化センター主任研究員)は、藤岡完治先生の研究グループの一員として研究に携わった、この分野の第一人者です。

 


 また、永井睦子先生(岩手保健医療大学看護学部教授)は神奈川県立看護教育大学校(現・神奈川県立保健福祉大学実践教育センター)在籍時の1990年代、看護教員養成教育や実習指導者養成教育に携わった際に、目黒悟先生や「授業デザイン」「授業リフレクション」と出会い、それまで初等・中等教育の世界のみで用いられてきたこの授業研究方法を、看護の世界にも応用できるようにと研究、改良を重ね、看護教育に定着させました。

(3)目黒悟先生、永井睦子先生が推進する「授業デザイン」とは

 教える人は1時間の授業だけでなく、一連の授業(単元全体)をとおして、

 

 ・学習者に何を経験してもらいたいのか

 ・どんなことを大事に学習者とかかわっていきたいのか

 ・最終的に学習者をどんなところへ連れていきたいのか

 

といった「実現したい授業の方向」を明確に持っていることが大切とされています。その自分の教える軸となる「実現したい授業の方向」を明確にし、授業を実施するまでの一連の行為を「授業デザイン」と呼んでいます。

また、「授業デザイン」は

 

 ①「授業デザインの6つの構成要素」を、それぞれ明確にする

 ②それぞれの構成要素の関連を考える

 ③授業(単元)の全体像をつかむ

 ④(場合によって)指導案を作成する

 ⑤授業の実施

 

の順番で進めていくこととされています。

授業デザインの6つの構成要素


(4)目黒悟先生、永井睦子先生が推進する「授業リフレクション」とは

 目黒悟先生や永井睦子先生が推進する「授業リフレクション」とは、教える人の意思決定や内面課程に注目した授業研究方法の総称を指します。この「授業リフレクション」が大切にしているのは、次の3つです。

 ①実践のなかで起きていることを振り返って確かめる

 ②自分のことばで自分の実践を語る

 ③実践のなかでの経験を自分で意味づける

  また、「授業リフレクション」の方法は「カード構造化法(授業全体の印象や、授業のなかで感じたことや、気づいたことなどをカードに記載しツリー図を完成させ、プロンプターと考察を行う)」など8種類あります。


 そして、この授業リフレクションには教える人の語りを促進するプロンプター(聞き手)の関わりが重要とされているのも特徴です。